ニンジャスレイヤーの第1巻から第4巻までは近未来都市ネオサイタマを舞台に、ニンジャスレイヤーの誕生から宿敵ソウカイヤとの決戦までが描かれました。第4巻までがニンジャスレイヤーの第1部にあたり、タイトルは【ネオサイタマ炎上】となっています。

そしていよいよ、本書【ザイバツ強襲!】からニンジャスレイヤーの第2部【キョート殺伐都市】が幕を開けます。舞台をネオサイタマから【キョート・リパブリック】に移し、ニンジャスレイヤーの戦いは続くのです。

この第2部より、ニンジャスレイヤーの世界はより奥深く、そしてより鮮明な輝きを持って拡大していきます。ニンジャとは何なのか、キンカクテンプルとは何なのか、コトダマ空間とは何なのか、第1部の紹介記事でも書きましたがニンジャスレイヤーはただのギャグ小説では、アイエエエな小説ではありません。刮目せよ!

ニンジャスレイヤー第2部 キョート殺伐都市

第2部【キョート殺伐都市】は第1部【ネオサイタマ炎上】に比べてかなりボリュームがあり、内容も相当濃くなっています。巻数にして第1部は全4巻でしたが、第2部は(2014年10月現在の予定では)全8巻にも及びます。新しいキャラクターや組織も次々と登場し、物語はより盛り上がりを見せていくのです。

また、第1部でうっすらと見えてきた世界観の秘密、ニンジャとは何なのか? キンカクテンプルとは? コトダマ空間とは? そういった読者が感じた数々の疑問もこの第2部で徐々に明らかになっていきます。その意味でこの第2部はニンジャスレイヤーの物語の核心へと踏み込んでいく章と言えるかもしれません。

もちろん全てが明らかになるわけではありませんがかなり踏み込んだところまで描写されていくため、改めてこの作品が【サイバーパンク】であることを痛感することになるでしょう。

ザイバツ強襲!掲載エピソード

本書には以下のエピソードが収録されています。リンク先は全て【ニンジャスレイヤー Wiki*】の該当エピソードのページとなっています。

ロンサム・パイン・アンド・ツー・ニンジャズ(Lonesome Pine And Two Ninjas)(書籍限定)

キックスタート・ア・ニューデイ(Kickstart A New Day)(書籍限定)

マーメイド・フロム・ブラックウォーター(Mermaid From The Black Water)

リキシャー・ディセント・アルゴリズム(Rikisher Discent Algorithm)

オン・ジ・エッジ・オブ・ザ・ホイール・オブ・ブルータル・フェイト(On The Edge Of The Wheel Of Brutal Fate)

ソード・オブ・ザ・ビトレイヤー(Sword Of The Betrayer)(書籍限定)

シー・ノー・イーヴル・ニンジャ(See No Evil Ninja)

ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ(Welcome To Neo-Saitama)

この中から【キックスタート・ア・ニュー・デイ】と【マーメイド・フロム・ブラックウォーター】をここでは簡単にご紹介したいと思います。

キックスタート・ア・ニュー・デイ

ネオサイタマが。炎上している。

ソウカイヤとの壮絶な死闘を繰り広げ、宿敵ラオモト・カンをついに殺害したニンジャスレイヤー。トコロザワ・ピラーから下界を見下ろす満身創痍の彼の目には、爆発炎上し赤く燃えるネオサイタマの光景が映っていました。

突如として発生した大規模爆破テロ。ラオモトの死を機敏に察知した謎のニンジャ組織が電光石火のごとくネオサイタマに雪崩れ込んできたのです! その組織の名は、ザイバツ・シャドーギルド

ソウカイヤとの死闘もつかの間、ニンジャスレイヤーの新たな戦いが幕を開けるのでした。舞台はネオサイタマからキョート共和国へ。今度はキョートでニンジャが出て殺す!

走れ、ニンジャスレイヤー、走れ!

キックスタート・ア・ニューデイ(Kickstart A New Day)(書籍限定)

この【キックスタート・ア・ニュー・デイ(Kickstart A New Day)】は書籍限定エピソードですが、元々は【ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ】の一編に当たります。書籍化に伴いエピソードの一部を独立させて、加筆修正したわけです。ですから【キックスタート・~】としてのエピソードはネット上で無料公開されていませんが、その一部は【ウェルカム・~】の方に収録されています。

→ ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ(Welcome To Neo-Saitama)

第1部の最終決戦、ニンジャスレイヤーがラオモト・カンと壮絶な死闘を繰り広げたまさにその直後、そこからこのエピソードは始まりを告げます。突如としてネオサイタマのあちこちで発生する大規模爆破テロ、街は燃え、大混乱が市民を襲います。

ネオサイタマへ侵攻してきたのは【ザイバツ・シャドーギルド】という名のニンジャ組織でした。ラオモトの死を何らかの手段で察知し、ネオサイタマを手中に収めるべく怒濤の勢いで攻め込んできたのです。次々に登場する新しいニンジャたちの姿にただならぬ気配が張り詰めていきます。ただしこのエピソードは第2部の序盤のまた序盤ですので互いの顔見せ程度で終わります。物語はここから始まるのです。

このエピソード最大の見せ場は、何と言っても再登場したヤモト・コキと運命的な出会いを果たしたモスキート=サンに他ならないと思います! ネオサイタマの混乱の中を移動していたヤモトの前に、突如として変態謎のニンジャが襲いかかります!

出典:【ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ】#3より

変態!まさに変態!ヤバイ級変態!

フィーヒヒヒ!と下卑た笑い声を上げながら登場した紳士こそ我らがマスター、モスキート=サン! あまりの変態っぷりにファンからの人気は急上昇! ヤモト=サンが本編に登場するたびに読者からはフィーヒヒヒ!という笑い声が聞こえてくるそうな……。

このモスキート=サン、単なるド変態なだけの雑魚かと思いきや、冷静に戦況を分析したり深追いせずにあっさり撤退したりと冷静沈着な行動も出来る人物です。とち狂った変態性と鋭利な刃物を思わせるような紳士性の両面を兼ね備えており、そこも彼が人気キャラとして支持を集める大きな要因でしょう。ほんとかっこいいというキャラクター。フィ-ヒヒヒ!

→ モスキート – ニンジャスレイヤー Wiki*

マーメイド・フロム・ブラックウォーター

ノビドメ・シェード運河を巡るオイラン屋形船が何者かによって爆破され乗員が死亡する事件が発生。しかし、これは違法接待の証拠を隠すために予め仕組まれていたものでした。

裏で手を引くのはザイバツ・シャドーギルド。しかし手下のヤクザがヘマをしでかし、屋形船に乗っていた一体のオイランドロイドが運河へと転落し行方不明になります。ザイバツはオイランドロイドの回収を急ぎ、証拠を隠滅するために暗躍するのでした。

一方で兄と共にバイク鍛冶屋を営むカキオの自室には一体のオイランドロイドが眠り続けていました。カキオはあちこちから寄せ集めたパーツを駆使してオイランドロイドを修理していきます……。

「ハローワールド……」

マーメイド・フロム・ブラックウォーター(Mermaid From The Black Water)

この【マーメイド・フロム・ブラックウォーター(Mermaid From The Black Water)】は本書の中でもかなり大好きなエピソードです。一体のオイランドロイドを巡る物語であり、【機械が自我を持つのか?】というSFにおける永遠のテーマの一つへと踏み込んでいく内容となっています。

カキオが拾って修復したオイランドロイドこそ、ザイバツの求めるターゲットでした。そしてカキオはそんなことを知るよしもなく、オイランドロイドの【エトコ】とユウジョウを深めていきます。

カキオは人付き合いが不器用であまり上手に会話が出来ない男です。普段はオドオドとしているカキオですが、エトコと夢について語るシーンでは最高にグッとくるものがあります。そして注目すべきなのは、【宇宙】に関する描写がここで登場するところです。

出典:【マーメイド・フロム・ブラックウォーター】#4より

科学が発展している近未来のSF世界であるにも関わらず、ニンジャスレイヤーではこれまで不思議なほどに宇宙の描写はされてきませんでした。ちらほらとキーワードとして登場するも、具体的な描写はほとんど見受けられないのです。カキオのセリフから宇宙開発はすでに過去の夢であることが分かります。

なぜ、そんなことになっているのか? いくつかの要因が見え隠れはしていますがまだまだ謎だらけです。むしろここでニンジャスレイヤーという物語に新たな謎が増えたと捉えるべきでしょう。

なぜこの世界では宇宙開発が完全に頓挫しているのか?

2014年10月現在において、このエピソードは第2部の冒頭に描かれていますが扱うテーマや方向性は第3部あるいは第4部以降とリンクすることが予想出来ます。宇宙の謎、そしてオイランドロイドの製造に関与している【ピグマリオン・コシモト兄弟社】の動向、気になる要素が次々に登場してきます。

ですが現時点では核心に迫れるような情報は何もありません。エトコの見せた行動の数々が何を意味しているのか、そこに自我があったのかは、分かりません。そもそも高度に組まれたプログラムと自我と呼ばれるものの間にどういった差異があるのか、その定義すらも正確なところは分かりません。

いずれにしてもこのエピソードで描かれている科学技術の諸々は確実に今後のニンジャスレイヤーの世界観に直結していくものばかりだと思います。

ザイバツ強襲!を読んだ感想

本編の内容に触れる前に。

本書から始まるニンジャスレイヤーの第2部は書籍カバーのデザインがめちゃくちゃイイです! 第1部は4冊とも似たデザインで揃えています。それはそれで統一感がありイイのですが、第2部からは一冊一冊に専用タイトルを付与して毎回デザインを変更しています。このタイトルの見せ方、イラストとのバランス、どの巻も素晴らしい出来映えだと私は思っています。デザイン的な観点から言えば、表紙だけでも見る価値が十二分にあると確信しています!

そして肝心の小説の中身も第1部ラストの怒濤の展開そのままにスピード感を失わずに盛り上がっていきます。特に第2部では新キャラクターが次々に登場することも大きな魅力です。

詳しいエピソード紹介では触れませんでしたが、新たなニンジャスレイヤーの相棒役を務める【タカギ・ガンドー】の初登場回【リキシャー・ディセント・アルゴリズム(Rikisher Discent Algorithm)】、第2部であちこちを引っかき回す【デスドレイン一味】の初登場回【シー・ノー・イーヴル・ニンジャ(See No Evil Ninja)】なども非常に面白く、大人気のエピソードです。

第2部は第1部に比べて主役級のキャラクターが本当に多く、どのエピソードも充実したものばかりです。読み応え抜群!感動の嵐!書棚圧迫!!ウィーピピー!

ニンジャスレイヤーの第2部はまだまだ本書から始まったばかりです。ザイバツ・シャドーギルドの目的とは? ロード・オブ・ザイバツとは? そしてニンジャスレイヤーの世界観においても宇宙開発の過去や電子戦争で一体何が起きたのか、気になることが次々に示されていくことになります。何度も何度も繰り返しますが、ニンジャスレイヤーはサイバーパンクの物語です。SF作品です。それらの意味するところは、この第2部を読み進めることで必ず見えてくることでしょう。

本書から始まるニンジャスレイヤーの新たな物語、第2部【キョート殺伐都市!】刮目せよ! 第1部をも上回る圧倒的な世界がそこにある!

ドラマCD付属の特装版も発売中

本書【ザイバツ強襲!】にはドラマCDが付属した特装版も発売しています。初回特典、というわけではないですから探せばまだまだ手に入るはずです。

ドラマCDには第1部を代表する名作【ラスト・ガール・スタンディング】、そしてダークニンジャとの壮絶な戦いを描いた【メナス・オブ・ダークニンジャ】が収録されています。あのシーンが、あのキャラクターが、あの戦いが! ドラマCDとして音声化されることによって面白さは何倍にも膨れあがることでしょう。是非、手に入れて聞いてみてください。