ようやく! ようやく! 第7巻が発売されました!

予定では9月発売でしたが延期されていて、先日の12月20日にようやく発売されました。

アニメも始まりノリにノっているログ・ホライズンですが、原作の物語はようやく中盤に差し掛かるかというところです。

<円卓会議>の設立、<アキバの街>の安定、<大地人>との関係改善、これらを成し遂げたシロエたちの次なる目標は何であるのでしょうか。それらはここまでの物語である程度予想も出来ると思うのですが、問題はどのような手段で、どのような解決を図るのかだと思います。

本書でようやくその道筋がはっきりとしますが、私自身の感想としては、『そう来るかっ!!』という思いでした。そう来るかっ!

これだから腹ぐろ眼鏡は腹黒いのだ。

それと本書は『ドラマCD付特装版』が同時に発売されました!

もっちろん私は特装版を買いましたよっ。特装版の内容もご紹介したいと思います。

ストーリー

<アキバの街>と<ミナミの街>の探り合いが影で進行する中、シロエは人里離れた雪山に直継とリ=ガンと供に隠れ潜んでいました。極秘作戦中のシロエは目的遂行のために新規レイドゾーンの攻略を始めます。しかし<円卓会議>の助力を得ることは出来ず、シロエは<ススキノの街>へと出向き仲間を集めることにしました。

シロエたちは<ススキノの街>で戦闘系ギルドの<シルバー・ソード>や懐かしい人物と再会し、新たな仲間たちと共に最難関のレイドへと挑戦を始めます。しかしその攻略は至難を極め、遂にシロエはこの異世界で初の死を経験することになり・・・・・・。

漢だらけの漢祭りッ

第6巻はアカツキを主人公とした女性陣の大規模戦闘が描かれましたが、この第7巻では同時進行で行われていたシロエたちの戦いが中心となります。ドキッ!漢だらけのダンジョン祭り!まさに漢祭りッ!

極秘作戦を実行中のシロエは誰も挑戦したことのない新ダンジョンを攻略することになり、第2巻で<円卓会議>への参加を断った<シルバー・ソード>に協力を要請することにします。 

シルバーソードのメンバー アニメ第9話より

アニメに登場したときの<シルバーソード>。
真ん中がギルドマスターのウィリアム=マサチューセッツ。
<円卓会議>の設立に招待されたが参加はしなかった。
本書では彼らの活躍が描かれる。
アニメ第9話より

ようやく本書で第2巻以降音沙汰のなかった<シルバー・ソード>のその後が明らかになります。<円卓会議>への参加を蹴った理由やその後の行動も判明し、ウィリアム率いる彼らが物語の中心にもなります。

また第1巻でシロエたちにフルぼっこにされたデミなんとかさんも再登場し、時の流れを感じさせる内容となっています。ウィリアムもデミなんとかさんも、<大災害>のその後を生きてきたのです。

そして本書の見所はなんと言ってもシロエたちの大規模戦闘に他なりません。

これまでも戦闘シーンは幾度となく描かれていますが、本書で行われる戦闘は間違いなく現時点における最高難易度のものです。かつてのゴブリンの大群のような格下の敵ではなく、同レベルかそれ以上のレベルを持つ敵の強さは、生半可なものではありません。

まさにゲーム攻略の最前線を走る“廃人”と呼ばれるような人々の戦いが本書では描かれるわけです。その連携の高さも能力の高さも、これまでの戦闘とは一線を画しています。<シルバーソード>の泥臭くも必死に戦う姿には、かつてMMOで感じたような戦闘の興奮が蘇ってくる思いでした。

また、本格的にレイドで活躍するシロエの描写も本書が初になります。茶会で数々の戦績を残し、全力管制戦闘と称されてきたシロエの本領発揮というわけです。

「見つめるのは30秒先の未来(キリッ」とか言ってたシロエさんでしたが、本書では700秒先の未来を見てるんですけど、あの、えっと、つまり、どういう・・・・・・。

敗北、そして初めての死

シロエたちのレイド攻略は順調、とは言えないまでも少しずつ進んでいました。しかし、道中のボス戦で思いもよらない事態が発生し、彼らは敗北を喫します。

耳の奥で、どこかで聞いた平板な声が聞こえた。

ーもうこの世界はゲームじゃない。それは終わったんだ。君たちの時間は、終了だ。

俺たち<冒険者>が戦略を練るように、奴らモンスターでさえ、自らの持ち場を離れて戦力を集中させたーデミクァスはそう思い当たった。

デミクァスが迷宮の守護者であったのならば、真っ先に考える当然の戦術。

力を合わせて<冒険者>どもを殲滅する。

そんな当たり前が、ただ、起きた。

出典:『ログ・ホライズン 7 供贄の黄金』p.191,192

一体のボスと戦闘中、なんとダンジョン内に複数いるはずのボスたちが集結してシロエたちに襲いかかってきたのです!

ゲームの時であればプレイヤーが攻略出来ないような難易度ではお話になりません。攻略出来るからこそ楽しいのであって、一方的にただ蹂躙されるようなコンテンツではゲームとして成り立ちません。(時々そういうゲームがあるから困る)しかし、シロエたちが戦う世界はゲームの世界ではありません。当然敵も同じであり、ゲーム的な制約で戦う必要性はどこにもないのです。

ボス一体と死闘を繰り広げる中、迷宮内の他のボスたちが集結し、力を合わせてシロエたちに襲いかかります。

一体のボスだけでもぎりぎりの戦闘を繰り広げていたのです。それが複数同時に襲いかかってくる絶望感、ゲームをやったことのある人なら誰しも想像出来るのではないでしょうか。

戦いに参加していた全ての者たちが、強大な絶望感を味わいながらボスたちの一斉攻撃により一瞬で全滅してしまいます。そしてシロエはこの異世界における初の死を経験することになり、第6巻でアカツキと巡り会った不思議な渚へとたどり着くことになります。

第6巻でのアカツキの死と本書でのシロエの死により、ようやくこの異世界における死の概念について読者は知ることが出来ます。その意味でも第6巻と本書は対をなす物語と言えるでしょう。もちろん全てが明らかになるというわけではありませんが重要な描写が数多く出てきますので、今後の展開に大きな影響を与えてきそうです。

圧倒的な絶望感の中で、シロエたちのレイド攻略がどのようにして果たされるのかが本書のキーとなる部分です。死を経験したことでシロエの気持ちにも大きな変化があり、この後のストーリー展開的にも本書の結末は大きなターニングポイントとなります。

ウィリアム=マサチューセッツ

本書における最大のキーマンが<シルバーソード>のギルドマスターであるウィリアム=マサチューセッツです。第2巻で登場して以来となりますがこれがまた本当にいいキャラしてるんです。今キャラクターの人気投票したら間違いなく上位に食い込んでくるでしょう。

ウィリアム率いる<シルバーソード>は<円卓会議>に参加しなかったことにより、他の大手ギルドが抱えるような政治的問題からは無縁の立場でいられました。彼らは街の問題などには関わらずに独自路線を貫き通し、異世界での冒険や戦闘に明け暮れていたのです。

彼らは根っからのゲーマー集団でした。

寝る間も惜しみ、朝から晩まで<エルダー・テイル>に夢中になり、ご飯を食べるのも学校行くのも仕事をするのも、全ては<エルダー・テイル>で遊ぶため、人生の全てを<エルダー・テイル>に捧げてきた“廃人”たちです。ギルドマスターであるウィリアム自身、自らを社会不適合者であったと称します。

彼らにとって現実化した<エルダー・テイル>は困惑こそすれ、歓迎すべきことでした。彼らはゲーム時代に何よりも熱く燃えていたハイエンドの戦闘を今なお追求していたのです。

しかし、彼らにも彼らなりに根深い問題を抱えており、シロエが訪ねたときにはギルドの活動は停滞期に突入していました。彼らにも何かきっかけが必要だったのかもしれません。

結果的にはシロエとの共闘を経て、彼らも大きく成長を果たすことになります。彼らの葛藤や成長も本書の大きな見所となっています。

しかし、真剣に異世界での戦闘を戦ってきた彼らだからこそ、彼らは理解してしまいます。

このレイドの攻略は不可能であると。

一体のボスですら何とか攻略出来るレベルなのにそれが三体も同時に現れてしまっては打つ手は何もありません。難易度で考えれば100人規模の<冒険者>が必要なのに、こちらはたったの24人で戦わねばならないのです。レベルを上げればどうにかなるという話ではないのです。

ダンジョンの入り口で自動蘇生されるメンバーたちですが、彼らの気持ちは絶望に押しつぶされて立ち上がることが出来ません。それはダンジョンの攻略が失敗に終わったという現実だけではなく、<シルバーソード>の存在意義が潰えた瞬間でもあったのです。

レイドボスが三体も現れてウィリアムらを蹴散らしたのだ。

それはふたつの事実を<シルバーソード>に指し示した。

ひとつ目は、この戦いには絶対勝てないということ。

(中略)

そしてふたつ目は、それにも輪をかけてーいや、比較にならないほどに悪い報せだった。もしレイドボスがああして徒党を組むようになったのだとしたら、それがどこででも起きているのだとすれば、もはや、<シルバーソード>が勝つことのできるレイドはこの世界にひとつもないことになる。

(中略)

ウィリアムが理解した程度のことは<シルバーソード>の誰もがわかったはずだ。

全滅するまでもなく、コロセウムの大門からレイドボスが増援として現れた時、その瞬間レイドメンバーは理解させられた。

この世界はウィリアムたちを拒否したのだ。

出典:『ログ・ホライズン 7 供贄の黄金』p.234,235.236

彼らは戦闘に敗北し全滅したことよりも、自分たちのこれまでの戦いが無駄であったことに絶望してしまったのです。ただただ<エルダー・テイル>というゲームを愛し、熱い戦闘を求め続けたゲーマーたちだからこそ、そこからレイドを奪われてしまったら何が残るというのでしょうか。ウィリアムには彼らの痛みが手に取るように分かってしまったのです。

ウィリアムはギルドマスターとして、一人のプレイヤーとして、何よりも一人の人間として、彼らへと言葉を発していきます。それは決してかっこいい言葉ではありません。立派な演説でもありません。思いの丈を、ただ出てくる言葉に任せて投げかけていたに過ぎないでしょう。

だからこそ、だからこそ!

ウィリアムの言葉は何よりも心に響いて胸を打つのだと思います。

本書挿絵より ウィリアムの慟哭が仲間を再び立ち上がらせる 7巻 P.249より

絶望に崩れ落ちるギルドメンバーたちへ心の内を吐露するウィリアム。
今まであまり描写のなかったウィリアム最高のシーン。
アニメではこのシーンの放映予定は今のところないけれども、このシーンを想定して声優が選ばれたらしい。アニメの第2期が待ち遠しい。
7巻 P.249より

ウィリアムの言葉は仲間に向けた言葉である以上に、ウィリアム自身へと向けられた言葉です。心が折られ朽ちていく現実に、必死に抗うための言葉です。

彼の言葉からはとても熱いものがこみ上げてきました。不器用でバカだけれども、一途で情熱的な彼の気持ちには心揺さぶられるものがありました。こういうキャラは本当に大好きです。

このシーンは本書最大の見せ場であり、ログ・ホライズン屈指の名シーンの一つであることは間違いないでしょう。ウィリアムの言葉に動かされ、<シルバーソード>の面々は再び立ち上がります。

そしてウィリアムの言葉はシロエにもきちんと届いていました。

この絶望的な現状に、シロエはあくまで立ち向かっていきます。どこかに攻略の糸口はあるはずなのです。この程度のことで諦める腹ぐろ眼鏡ではありません。

多少はマシな作戦がある。でも、多少マシなだけだ。勝率は十五%

出典:『ログ・ホライズン 7 供贄の黄金』p.261

特装版 ドラマCD

本書には特装版としてドラマCDが付属した版が発売されています。

キャストはアニメと同様で、『安住の地を求めて』と『黒剣VS狂戦士』の2本が収録されています。

『安住の地を求めて』は<記憶の地平線>のギルドハウス探しの物語です。

<円卓会議>設立後、シロエたちは<記憶の地平線>の家を探して<アキバの街>を歩き回っていました。その道中でメンバーや色々な人の意見を聞きながら自分たちの家を探していきます。

本編ではあまり語られていない、彼らの求める家のイメージを垣間見ることの出来る物語です。

そしてもう一本が『黒剣VS狂戦士』で、のクラスティと<黒剣騎士団>のアイザックの物語です。

クラスティは夜な夜な<シンジュク御苑の森>へ行きソロで狩りをしていました。戦闘訓練の一環だったのですがそこにアイザックが登場します。二人は会話の流れで一対一の“戦闘訓練”をすることになり、次第にその“戦闘訓練”はヒートアップし始めて・・・・・・。

どちらも本編ではあまり語られていないところがストーリーになっているのでとても興味深い内容です。個人的には『黒剣VS狂戦士』がたまらなく良かったです。

本編ではなんだかんだ仲の良い二人ですが、このドラマCDでは結構ガチなバトルを繰り広げます。まあ、やっぱなんだかんだ仲の良い二人なんですけどね。

おまけ

現在、著者の公式ウェブサイトで本書に登場するレイド攻略パーティの解説が掲載されています。

 → ログ・ホライズン 7 供贄の黄金スペシャル企画
<奈落の参道>レイドチーム紹介

24人分の設定作ってあるとかなにそれこわい。

早く彼らがアニメで動くところが見たいなぁ。

また、現在放映中のアニメですがお正月に一挙放送があるそうです。アニメをまだ見てない人も、すでに見た人も、お正月はログ・ホライズン!

シロエの笑顔

「あいつが面倒くさいクソドSなんて顔見りゃわかんだろ!」
ウィリアム談