ミルクの本』は、牛乳大好きな著者が全国各地のご当地牛乳を紹介されている本です。北海道から沖縄まで、それとほんの少し海外まで、実に200種類以上の牛乳が美麗な写真と共に掲載されています。

生産過程や成分の解説、牛乳を使ったお菓子やドリンクも掲載されているので、この本を読んだら「牛乳が好きになること間違いなし」な一冊です。可愛らしい表紙に惹かれて購入した本ですが、とても良い買い物になりました。

その上で、この本はデザイナーの方に強くオススメしたい一冊です。

デザインを勉強している人、仕事にしている人、興味がある人、この『ミルクの本』をオススメします。プロダクトデザインの見本となる、教科書のような一冊でした。

本書のデザイナーは著者ご本人です。著者のミルクマイスター高砂さんは世界一牛乳好きなグラフィックデザイナーとのこと。自身でデザインを監修しているからでしょうか、全体を通してフォントやカラーなど、デザインの統一感が素晴らしいと私は感じました。

おそらくは紙書籍に最適化されているので、電子よりも紙をオススメします。

私は紙で読みましたが、「読みづらさ」を全く感じなかったことが驚きでした。ページをめくったときの視線誘導、色彩の選び方、フォントの大きさやバランス、何よりも余白(マージン、パディング)の使い方が絶妙で、ページの隅々まで作り手の意思が感じられました。派手さはないけれど、もの凄く丁寧な仕事という印象です。

情報媒体としての紙書籍に求められるデザインの水準をかなり高いレベルで実現しており、まさに教科書的な一冊ですが、この本の良いところはそれだけではありません。

200種類以上のご当地牛乳の紹介が本当に素晴らしいのです。

まさにプロダクトデザインの教科書そのものです。同一時代における「牛乳」という同一商品のパッケージが、全国でどんな風にデザインされているのか。一目瞭然です。

昔ながらの素朴なデザインもあれば、現代的でおしゃれなものもあります。商品の性質上、白色を基調としたものが多いですが、組み合わせる色彩は千差万別です。あえて白色ではなく黒色を基調として、プレミアム感を演出しているものもありました。新潟のトキや、熊本のくまモンのように、商品の性質よりも地域性やキャラクター性を優先するデザインも面白いですし、紙パックや瓶という素材の違いも見ることができます。

牛乳という商品を通じて、日本各地の文化を垣間見ることができます。

そこが、この本のすっごく良いところです。著者の文章も愛に溢れていて楽しく読むことができました。きっと「牛乳が好きになること間違いなし」な一冊です。