2026年オススメしたい最高の本『言語の人類史』
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言語とは、いつ、どのようにして、なぜできあがったのか。
その進化の謎に挑む本書は全500ページを超える読み応え抜群の一冊です。値段も5千円と気軽に人へ勧められる額ではありませんが、ぜひ多くの方に読んでいただきたい名著だと思いました。
著者は『心の先史時代(1998)』や『歌うネアンデルタール(2006)』を書かれたスティーブン・ミズン教授(1960~)。長年研究されてきた考古学の成果が本書にまとめられています。科学的な研究書でありながらも、どこか情熱的な気配を感じる文章に人生を捧げた研究者の執念を感じました。読み物としても非常に優れた一冊だと思います。
個人的には2026年のベスト本になりうる一冊でした。本当に面白い本でした!
著者はジグソーパズルに見立てながら「言語の起源」を紐解いていきます。言語学に限らず、心理学、神経科学、遺伝学、人類学、古人類学、動物行動学などなど、様々な分野の知識をピースとして集めて、最終的な全体像を探るというアプローチです。
多角的な視点から言語学を描く試みが本書の特徴であり、すごく面白いところです。様々な分野の研究が登場するので、次はどんな話しなんだろうとワクワクしながら読むことができました。中でも、個人的に興味深かったのが第10章「火」の話しです。
人類が火を手に入れたことで何が起きたのか。人類学者ポリー・ウィースナーによる狩猟採集民の調査研究が紹介されますが、その中で「採集民は日中の時間は効率的に、夜の時間は効果的に利用している(p.231)」と論じられています。すなわち、日中は食料の採集などを効率的に行う経済的必要性がコミュニケーションの軸にありますが、夜では火を囲みながらの歌や儀式、物語といった社会的文化的交流が軸にあると言うのです。
そして、夜に語られる物語は過去の出来事や超自然的な存在など、目の前にある事物ではなく想像力が必要な抽象的な概念が多く含まれています。人類は火を手に入れたことで夜を安全に過ごせるようになりました。その夜の交流こそが、言語の伝達や新しい言葉の創造、抽象的な概念の発明に繋がったと著者は指摘するのです。
「効率的な言語」と「効果的な言語」というものを意識したことがなかったので、この辺りはすごく興味深く読むことができました。火によって生まれた夜の時間が、人類に想像力や物語を創り出す能力を与えたのかもしれません。では、抽象的な概念とはそもそも何ぞやとか、人類の発声器官や脳の進化にどんな特徴があったのかなどなど、様々なピースを集めて「言語の起源」に迫っていきます。
そして、次第に見えてくるものは人類史そのものの姿です。サルと人類を分けたものは何だったのか。どうやって進化して、どうして言語が生まれたのか。普段、何も疑問を抱かずに使っている「言語」というものが、何百万年もの人類史と次々に結びついていく感覚がすごく新鮮で楽しいものでした。
人類とは、いつ、どのようにして、なぜできあがったのか。
その問いに、本書は見事に応えています。言語学という枠を越えた壮大な人類史を描き出し、その内容は読み応え抜群の本当に面白いものでした。
今、オススメしたい最高の一冊です。

